モーリタニアの旅行事情
   観光産業が2005年ごろから急に発達したが、2008年ダカール・ラリー(通称パリダカ)の中止を機会に、ヨーロッパ諸国の外務省がモーリタニアへの渡航を控えるようアドバイスし、観光客が激減した。2009年になっても、観光客が激減したままで、観光地も閑散としている。
 また、近代化が進んでいた旅行施設、特に急激に建築が増えたホテルは、2008年初旬工事をストップしているところが多い。

  多くの宿泊施設(主にオーベルジュ=民宿)では、絨毯の上にマットレスを敷いた、サハラスタイルの部屋。ヨーロピアンスタイルのベッドのあるホテルは、ヌアクショットやアタールなどの大都市に数件、そして、シンゲッティ、ワダン、チジクジャなどの地方都市にも1,2軒できた。ただし、観光客激減のため、稼動していないことが多く、前もって予約が必要である。

   フランスパンが1本約25円と物価は安いが、ホテルやレンタカー、ヨーロピアンタイプのレストランの価格や、ミネラルウォーターはヨーロッパ並み。石油が見つかった2006年から石油が世界的に高騰した時期の異常なホテル代やレンタカー代は、この世界経済危機と観光客激減のお陰で
通常価格に戻った。とはいえ、この宿の設備、車のレベルというのでも、圧倒的に数が少ないので、高い!と感じるのは否めない。アフリカを旅するのは高いのである。

 ヌアクショットを離れたら、宿泊施設やレストランがほとんどない上、ティシットやワラッタのような砂漠の奥地に行く際には手前の大きな町で燃料・食糧を調達するなどの十分な旅行計画が必要である。

入国ビザ

  モーリタニアに入国する為にビザが必要。

  日本では東京にあるモーリタニア大使館(東京都品川区北品川5-17-5  03-3449-3810)に申請用紙と添付レター等を提出して取得する。なお、パスポートは、入国する日から6ヶ月以上の有効期限が必要。

予防接種

  予防接種はモーリタニアに入国する日より6日以内に黄熱地帯を通過する場合、黄熱病の予防接種を証明できるイエローカードが必要である。
 
 マラリアは特に南部のセネガル川沿いの蚊の多い地方では要注意なので、虫除けスプレーや蚊取り線香、場合によっては予防薬などを準備する。マラリアの薬はニバキン(nibakine)、クロロキン等が良く知られているが肝臓に負担がかかるなど副作用もあるといわれている。最近ではMalarone,  Savarineなどの副作用が少ない薬も開発されているが、アフリカのマラリアに対する効能がまだはっきり解明されていないという。いずれの薬も欧州の薬局、欧州の飛行場内の薬局などで処方箋なしに購入できる。

      

  ヌアクショットは年間通して30℃〜38℃とほぼ一定している。日中、直射日光は強いが、日陰に入ると乾燥しているせいかひんやり感じるほどで過ごしやすい。ただし夜間は冬(11月〜3月)屋外で3℃〜8℃、夏(6月〜10月)は8℃〜15℃と日中の暑さに比べて寒い。

  シンゲッティ、ワダン、チジクジャ、チシット、ネマなどの砂漠の奥地では冬0℃〜38℃、夏18℃〜55℃と夜間、日中の寒暖の差が激しく、日中の日差しがかなり厳しい。これらの場所では夏の間、13時〜17時の間は現地の人々も外出を避けているくらいであるから、我々土地の気候に慣れていない旅行者は外出する際十分日射病、脱水症に気を付けたほうがよい。

  ヌアディブは海洋気候でその上平均気温が40℃を越える暑い町だ。雨は北部の砂漠地では年間を通してごくわずか。降雨量でみるとヌアクショット及び砂漠の中の町(アタール、シンゲッティ、チジクジャ、チシットなど)で年間2ミリ〜100ミリ、日数にして0日〜20日。

  希望街道(Route del'espoir)沿いの町、キッファ、アイウン・エル・アトラス、ネマ、さらにロッソやカエディなどのセネガル河流域では降雨量が200ミリ〜450ミリ、日数にして30〜60日前後と雨季(7月〜9月)を中心に雨が降る。

  また砂漠地帯では3月〜5月にかけて砂嵐が多く、時には3、4m先も見えないほどすごい砂嵐になる。乾季〜雨季へと季節が移る時期で大気中に不安定な空気の渦が発生しやすいからである。

  モーリタニアを観光旅行するには10月〜3月がベストシーズンといえよう。

通貨と両替 
   通貨はモーリタニア・ウギア (Ouguiya Mauritanien,  正式にはMROと表記するが、現地ではほとんどUMと表記される)。 

   2009年5月時点ではレートは1ウギア=約 \0,4、 1US$=約260ウギア、1ユーロ=350ウギア。

   両替は、飛行場の両替場、市内の銀行、大きなホテルでユーロ、USドル紙幣から交換できる。パリバ銀行、ソシエテ・ジェネラルなどの外資系銀行では、交換金額が一人1回1900ユーロまでという制限があるところもある。いつも混んでいるが、ヌアクショットの中心部にあるBMCI銀行は、金額の制限もなく、手数料もとられないのでお勧め。
 トラベラーズチェックは使用不可で、国立銀行や大手銀行でも一切扱っていない。換金したら、必ず自分で数えたほうが良い。時折、破れたお札や、足りないことがあるからだ。

 ヌアクショットやアタールの中心地で両替しないかと現地の人々が声を掛けてくる。ヤミ換金を行っている若者たちで、応じると市場などの小さな事務所に連れて行かれ、両替してくれる。銀行とほとんどレートが変わらないので、お勧めしない。

 現金の円からの換金に関しては、どこの銀行に行ってもレートは貼り出してあるがヌアクショットの銀行で交換してくれるところはない。

 クレジットカードが使えるのは、ヌアクショットの大手のホテルだけ。ホテルハイマの中に、ATMがあってVISAカードのキャッシングができる。他は、いっさいカードを使えるところがなく、すべて現金清算になる。

 入国の際に外貨証明を書いてスタンプをもらい、出国の際に両替証明と併せて提示するきまりがあるが、ここ数年飛行場で同手続を求められることはなくなっている。が、このルールはアトランダムにやっているようで、時々飛行場でいきなり証明書を提出するよう言われることがある。
  銀行オープン時間 :8:00〜15:00  金・土曜終日クローズ   

時   差  
 モーリタニアの時間はグリニッジ時間と同タイム、従って日本との時差は9時間。日本で正午にモーリタニアでは9時間前の午前3時ということになる。
  カレンダーはかつてはイスラム暦を使用していたが、他のアラブ諸国同様、2006年から西暦を使うようになった。しかし、イスラムの金曜日のお祈りの日の習慣を変えることはできず、金曜日から日曜日まで休むことになってしまった。2008年1月から、再度金曜日が日本の日曜日のように変更になった。
 銀行、郵便局、警察、省官庁などの公的機関は金・土曜日休みである。
 

祝    日  
モーリタニアの祝日は
  −1月1日     正月
  −5月1日     国際労働の日
  −5月25日   アフリカ統一機構設立記念日
  −7月10日   モーリタニア軍隊記念日
  -11月28日  独立記念日
  −12月12日 再開発促進記念日
  −ラマダンの終日 (イスラム暦で毎年変る。)

他にイスラム暦によってId el Adha, 予言者Mohammedの日などの祝日が毎年変則的に行われる。

 

電話事情  
  モーリタニア人は電話が大好き。 ヌアクショットやアタールなどの大都市以外、電話が通じないという時期がかなり続いていたが、近年たいへんな勢いで携帯電話が普及した。今では、地方の主な都市はもちろん、砂漠の奥地の町まで電話が通じる。そして、金持ちから仕事がない人まで皆さん携帯電話を持っている。電気がない部落に住んでいる人から、電話代を払えるの?という人まで携帯電話を持っている。電気のない地方の奥地の人は、町に出た時に充電したり、村でソーラー電気を持っている人の所に行って充電を頼むのだ。

 日本から持参する国際携帯電話は機種によって、ヌアクショットやヌアディブで使えるものがあるらしい。ただし、それ以外の場所では使用不可(2009年5月現在)。現地で普及している携帯電話は、マーテル、モーリテル、シンゲッテルの3社で、都市によって通じるメーカーが違う。
  

  ヌアクショットでもホテルの部屋から直接国際電話をできるのはノボテル・メルハバ・ハイマ・モノテル・ハリマなどの主要ホテルだけ。他は交換手を通して市内、市外電話、ファックスをする。

 インターネットはヌアクショットの主要ホテルで使用できる。ただし、ADSLだが、かなり遅い。市内にいくつかサイバーカフェがあり、1時間200ウギア(\90)程度で使用できる。日本語で読める(ただし、日本語で送信はできない)ところもある。
 また、地方の大きな都市(アタール、ヌアディブ)でも、携帯電話回線につないで、インターネットが使えるところがある。
  

    

旅行する際の所持品について  
   シンゲッティやワダン、ウァラッタなどの砂漠の奥地を旅行する場合、日中かなり暑くなるのでTシャツやポロシャツ、薄手のパンツやジーンズ、インディアンスカートのような涼しいスカートなどが過ごし易い。

  冬は夜間冷えるのでフリースや時季・場所によってはダウンジャケットが必要な場合もある。旅先では常時はおるものを持参して、寒くなったら着る、熱くなったら脱ぐとこまめに調節して体調をこわさないようにするのがコツ。

  帽子、サングラス、サンダルやスニーカーは必需品。ヌアクショット、アタール、希望街道沿いの都市に宿泊する時は、蚊取り線香や虫除けスプレイがあると安心。現地の蝿はしぶとく遠慮無く私達の顔や身体にたかる。蝿が気になる人は、ヌアクショットで透けた黒いヴォワル(婦人用民族衣装)を買って、寝る時に頭からすっぽり被って寝るとよい。

  地方の村落を旅行する時には、ミネラルウォーターやトイレットペーバーを持参する。また、{おしりふき」のような大型のウェットティッシューがあると便利。

 

 

モーリタニアへの交通 
  

モーリタニアへ入国している飛行機は :
 - フランス、パリのシャルル・ド・ゴール空港から エール・フランス機が週5便、パリのオルリー空港からモーリタニア・エアウェイズ航空が週1便。
 - モロッコのカサブランカから ロイヤル・エア・モロッコ
 - アルジェリアのアルジェからエール・アルジェリ機が 集2便
 - セネガルのダカールからエール・セネガル機、毎日1便
 - チュニジアのチュニスからチュニス・エアが週3便
 
 * モーリタニア・エアウェイズは2008にできたモーリタニアの民間飛行機会社。チュニジアからの投資により、現在、アビジャン(週2便、バマコ(週2便、ダカール(週2便)、ラス・パルマス(週2便)、ヌアディブ(週6便、ズエラット(週2便)にフライトしている。

 格安航空券は、フランスのオポド(OPODO) http://www.opodo.fr/ やゴー・ヴォヤージ GO Voyagees http://www.govoyages.comなどで検索するとパリ→ヌアクショット往復が800ユーロ前後の安いチケットを手配できる。ロイヤル・エア・モロッコやチュニス・エアは、出発時間が真夜中だったり、乗り換えの不便などはあるが、直行便よりかなり安い。