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サハラ砂漠と砂漠化 |
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モーリタニアの環境問題 モーリタニアは、サヘルとサハラ砂漠に位置し、国土の4/3以上が沙漠という国で、1960年代以降、@極端な雨不足、A砂漠化という2つの問題に直面している。特に地方にこの二つが顕著なために、地方に住む遊牧民などの生活が逼迫し、国民の68%が貧民線以下の生活を送っているという実態を招いた。 1968年〜1984年まで続いた大干ばつは、半乾燥地域にあったモーリタニアに未曾有の被害を与えた。家畜の90%が失われ、遊牧民や砂漠の村に住む人々は、生活の場を追われ都市に集まった。その後、緩和したとはいえ、地球の温暖化などの影響により年間5万uが砂漠化しているという。国際自然保護連合は、1995年〜2004年の10年間にモーリタニアで砂漠化した土地は、国土の15%、150,000kuにもなると発表している。 モーリタニアの中で保護地区として、自然保護を進めているのは1,7%だけで、バン・ダルゲン国立公園と、ディアウリグ国立公園の2ヵ所だけである。 この国の収入源として大きな役割を果たしている魚介に関しても、乱獲が原因で、良好な状況にあるとはいえない。 砂漠の拡大は、草木に覆われた土地に住んでいた人口の減少も招く。1970年代の大旱魃やその後の度重なる旱魃により地方の遊牧民が大都会に移り住むようになった。1965年に国民の78%を占めていた遊牧民は、1995年に15%、2004年には8%に減少した。主にヌアクショット、ヌアディブに集中し、現在国民の2人に1人が都市部で生活している。(1995年には地方の定住者が48%だった) 首都ヌアクショットは、急激な人口増加に対し、居住地や住居の不足、飲料水の不足(水道が使えるのは30%だけ)、下水道の不備、ごみ処理、交通網などインフラ整備が追いつかない。 希望街道から南側のサヘル地帯では、木を伐採して墨を作りそれを他の地方やマリなどに売っている。その伐採が原因で、木が激減している。 |
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オアシスが砂で覆われ、数メートルもあるヤシの木が半分以上も埋まってしまったアドラール州の村落 | 家々が砂で覆われ、入り口がすっかりふさがれてしまった (シンゲッティ旧市街) |
モーリタニア政府の環境問題の取り組み - 1992年それまでの地方開発省が、地方開発&環境省(MDRE)になった。 - 1993年、地方開発&環境省の中に、特に整備問題を中心とする地方整備・環境部(Direction de l'Environement et de l'amenagement Rural)が設置された。 - 1995年、新たに、環境・開発国務院(Conseil National Environnement et Developpement)が設立、環境に対する企画、コーディネイトや環境事業のアフターフォローを担当する。 モーリタニアでは、国が進める環境体制はあまり現実的でないと評価されている。また、海外などからの支援団体は主に農業省や水利省などと連携することが多いが、それが環境関連だとしても省庁どうしの連計がないので、環境省とつながらない。 2004年国連開発計画(UNDP)の90%の融資を受けて、長期環境・開発全国アクションプログラム(PANE)を実施。 1992年のリオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)の国際環境会議に続き、モーリタニア国内で様々な会議が催され、長期間における環境保護や環境改善などに関する法律が批准された。 またこれと前後して、様々な法律が制定されている。 - 水利法 1986年、- 衛生法 1986年、-森林法 1997年、-自然保護・狩猟法 1997年、-鉱業法 1999年、-漁業法 2000年、環境法 2000年、バン・ダルゲン国立公園管理法 2000年、 遊牧民法 2000年。 ただし、これら国際協定はほとんど実施されておらず、法的プランも、様々な長期環境開発に関する法律も不在なのが実情。 環境プロジェクト 明確な環境政策は不在ながら、フランス開発支援エージェント(AFD)、世界銀行、ユニセフ、世界保健機構(WHO)、国連開発計画(UNDP)、ドイツ政府の開発援助組織であるGZTなど支援関係者からの環境に関する関心が高まっており、政府としても黙視しているわけにいかなくなった。 砂漠化対策は特に大きな課題で、海岸線&セネガル河域の農村開発、密漁対策を強化して天然資源の保護などのプロジェクトが組まれた。 首都ヌアクショットは世界に類をみない人口増加を引き起こしている都市で、1960年3,000人も住民がいなかったところに、わずか50年もたたないうちに80万人を超えた。年平均3,75%の増加率になる。現在、58,1%の家庭が配給荷車か水道で飲料水を得、4世帯に1つはトイレがない。下水道整備プランが遂行され始めた。 またヌアクショットで、1日600m3のゴミが排出されるのに対し、その集配率は50%にもならない150トン/日。ヌアクショットにある9つの区と都がゴミ処理の管理の責任者となり、定期的にゴミを収集し、また、無秩序なゴミの廃棄をストップさせるプランも立てられた。そのほか、期待された成果は得られなかったら、政府がゴミ処理に関する管理戦略を検討することが決定した。 ただし、国が打ち出したシェマが複雑すぎて、実質的な効果が得られそうもないと反対する自治体も少なくない。 海底油田によるエコ被害 モーリタニアは北部のバン・ダルゲン国立公園、南部のディアウリグ国立公園があり、海岸線は豊かな漁場である。そこに、近年海底油田が開発され、海岸線が危機にさらされることになった。掘り出した後不要な泥の廃棄、大型タンカーの往来、発掘の際の水処理などエコ的な難題が多い。 |