Rosso&Kaedi


ロッソ

 モーリタニアの南部、セネガルとの国境は大部分がセネガル河で、800kmにわたって河岸に面している。
 セネガル河はマリとギニアを源流に1700kmの大きな河だ。紀元前5000年頃は、今より水面が3mも高く、今のボゲ(Bogue)あたりまで海だった。

 紀元始め頃、大西洋の水面が下がり今の海岸線を形成したと言われる。セネガル河は6月〜10月の雨季に増水し、河岸を肥沃にする。シュママ(Chemama)と呼ばれる河岸の低地は時に20kmもの幅に渡って浸水し、リキズ湖 (Lac de Rkiz)やショット・ブール(Chott Boul)等の常時、乾湖になっているところまで水で満たされる。

 当然ながら、河岸一帯は肥沃な土地を利用して穀類や野菜を栽培している。米の栽培については中国からの技術援助を受けた。セネガル河流域だけでモーリタニアの約9割の穀類、約4万tを生産しており、全国で消費される穀類の大部分を海外から輸入しているこの国の貴重な穀倉地帯である。

 ヌアクショットから、海岸線伝いに立派な舗装道路・国道2号を南下すると次第に草木が増え、木立の中にロッソ(203km)が見えてくる。海辺の港町とは少し雰囲気が違う。商店や物売りが狭い道路にまでせり出し人込みがすごい。車の往来が激しく、渋滞もすごい。

 ヌアクショットから北部で多いモール人は少なくなり、プーラル人や、ソンニケ人といったブラック・アフリカンがほとんどで、民族衣装もメラッファよりセネガルやマリの人々が着ているワンピースやツーピースの洋服が多い。北部のゆったりした雰囲気はなく、モーリタニア人もこの町は治安が悪い、衛生が悪いと言うほど殺伐とした感がある。


 河岸一帯の農村は想像を絶するほどの蚊の多さで、マラリアを媒体する蚊もいる。ロッソの中にもマラリアにかかっている農村の人々が行き来しているので、旅行者は充分注意が必要。



セネガル川を渡る

 モーリタニアからセネガルに渡るには、ロッソからフェリーまたは、渡し舟で渡るか、ディアマの橋を通る。ロッソの港の玄関を入ると両替の店や税関がある。両替とパスポートチェックを済ませ、フェリーに乗り込むのだが、うるさいくらい次々に両替、パスポートの手続き屋が声をかけてくる。彼らに頼んでもかかる時間は同じ、手数料を取られるだけなので、冷静に断ろう。

 フェリーボートはバックと呼ばれ、1日4回運行している。乗船料は一人100ウギア、車は3,000ウギア。12時から15時は休憩タイムなので、時間を調整して行ったほうがよい。

一方、渡し舟はピローグと呼ばれ、多い時で10隻ほど運行しており、乗船料は一人500ウギア〜(交渉しだい)。人が集まったら運行するのでフェリーボートより往復回数が多い。

ロッソからセネガルに渡る船。奥に見えるのがバックとよばれるフェリーボート。手前がピローグ(渡し舟)。 ロッソは人口密度が高い町のようだ。ワサワサした印象。 ヌアクショットからロッソまで203km、途中、道路沿いの集落が雨で川のようになっていた。右手の黒い影が人。午前中この状態でも、夕方にはほとんど水が引いて、草が芽を出していた。
 ロッソから40kmほど東にディアマのダム(Barrage de  Diama)がある。途中かなりの悪路をがまんしなければならないが、橋を通ってセネガルに入れるので、フェリーがクローズする昼休みや夜間はこちらを通る。同ダムはセネガル河開発の一貫としてマリ、ギニア、モーリタニアの開発の為に建設された。
 

ディワウリン野鳥国立公園 (Parc  National  aux  Oiseaux  du  Diaouling)

 バン・ダルゲン国立公園に並ぶ、野鳥の宝庫。3万ヘクタールに広がる敷地内は、北はトゥンボ(Toumbos),南はベル・ンディウル(Belle  N’Dioul)、東は大西洋、西はセネガル河に囲まれる。フラミンゴ、ペリカン、シラサギ、アオサギ、鵜など様々な野鳥が生息している。さらにロッソの北にあるリキズ湖(lac  Rkiz)も野鳥が多いことで知られる。
 



クール・マッセヌ(Keur Massene)

ロッソの西側にある狩猟キャンプ地。サンルイ島やヌアクショットなどに住む狩猟ファンがイボイノシシ、鴨などを撃ちにやってくる。ほとんど人家のない広大なデルタ地帯は海辺の雑草や潅木で覆われ、野鳥や小動物のメッカ。但し、土地に不慣れな人が入ると、干潮の為に道が通れなくなったり、地面が柔らかくて車が埋もれ込んでしまう所があって非常に危険だ。ガイドは必須。

クール・マッセヌのバンガロー。 セネガル川で遊ぶ子供たち

カエディ


 カエディはセネガルとの国境近く、セネガル河沿いにある大きな町。北部のモール人ばかりのアドラール地方などとは大きく違い、ブラックアフリカンが多い。地元の人々も陽気で人懐っこい。市内に大きな市場があり騒々しいくらい活気に満ち溢れている。

 セネガル河流域の穀物地帯の中心地、モーリタニアの穀物の重要産地である。海外からの支援を受け、近代的に整備された数千ヘクタールの田で穀類、もろこし、米が栽培される。また、モーリタニア内で他に生息していないゼブ(こぶ牛)の畜産が行われている。ロッソと同様、マラリア蚊に充分注意したほうがよい。

ロッソ&カエディの宿と食事
ロッソ
ホテル・トラルザ(Hotel  Trarza)
バー、レストラン有り、13部屋。


クール・マッセヌキャンプ (Campement  de  chasse  de  Keur  Massene)


バー、レストラン有り、8部屋。キャンプ内で狩猟ができ、レストランで調理してもらうこともできる。

カエディは市内にいくつかオーベルジュがある。
 

ロッソ&カエディへのアクセス
-ヌアクショットからロッソまで、国道2号を南へ203km
-ロッソからセネガルの サン・ルイ島まで約100km

-カエディへは、ヌアクショットから希望街道をアレグまで行き、ボゲ(Boghe)を経由するセネガル河沿いのルートか、北回りのルートで約500km。