Chinguetti


 

モーリタニアの中でも最も美しい砂丘に囲まれた街で、遠くから見る砂漠と街全体もすばらしいが、街を出てすぐ近くにいくつにも折り重なる砂丘の景色もみごとだ。イスラムの7番目の聖地として11世紀頃から栄え、ユネスコ世界文化遺産の指定都市。

 シンゲッティは[馬の泉]という意味で、大きなオアシスの街であり、サハラを旅するキャラバン隊の重要な交流地だった。また、ここにモーリタニア中から敬謙なイスラム教徒が集まり、メッカに巡礼に行く旅人の拠点でもあった。

 シンゲッティからサハラ砂漠を越えてメッカまでラクダで旅をする、それは気の遠くなるような遠く長い旅だったに違いない。
 






 

 

 

時が経つのも忘れてしまうほど美しい砂丘
シンゲッティは乾川を挟んで、新市街と旧市街に分かれる。中央にある塔はリビアから寄贈された貯水塔。奥にワララン砂丘が広がる。

シンゲッティのみどころ
 
 町の真中を大きな乾河が縦断し、底に砂がたまって小さな砂丘となっている。かつては幅50m以上もあったと思われる大きな川底だが、今は水たまりさえできず、車や人々が砂丘の中を往来している。

 この砂丘の東側にある旧市街は12世紀からの建物が残っている一角で、石を積み重ねて作られた家々が並ぶ。家の中は中庭があり、それを囲むように狭い部屋がマッチ箱を重ねたように続く。砂に覆われたり、崩れかかっている家もあるが、まだわずかに人が住んでいる家があって、狭い迷路のような路地を散策していると、ときどき扉があいて中から住人が出てきたりする。
シンゲッティのモスク。原型は12世紀に建てられたもの。 市の入り口そばにある共同墓地。毎週金曜日は、墓参りの人がたくさん訪れる。
  シンゲッティは古くからイスラムの文化人の集まったところ、イスラムの大学があったところで、街の中の図書館 (Biblitheque)には5000冊を越える古書が残されている。12、13世紀にみごとな書体で書かれたアラビア語の本や、金・赤などの装飾を施した聖典など、重要な文化財がたくさんある。図書館自体
13世紀に建てられた古いもので、この建物の中や書物を見学することができる。

 シンゲッティには現在、8つの図書館があり、それぞれ、代々所有してきたものを一部展示している。本の貯蔵で有名なのはハボット(Habot)家の図書館。天文書や、美しい経典などがある。ただ、入場料1,000ウギアもとられながら、入り口のオフィスで、数冊だけ見せてもらって終わってしまうのが残念。

 旧市街にある、2代目市長モハメッド・マレイニンの家も古書のコレクションで知られている。ここはまた、一般の人々に家を開放して宿泊できるようにし、ヒーリングの家(Maison  du  Bien-etre)と呼ばれている。新市街のキャラバン宿ができる前は、ここだけが町の唯一の民宿で、メッカに向かうモーリタニア人や海外からの旅行者などが数多く泊まった。

 図書館の隣にあるのが旧モスク。12世紀に建てられたもので、比較的小さなモスクだが、ミナレット(尖塔)の形が美しいことで有名。現在でも使われていて、町の人々が1日5回お祈りに集まってくる。残念ながら、イスラム教徒でないと中に入れない。

 乾河を渉ると西側が新市街。旧市街が砂に埋もれ、砂を掻いたり建物を階上に増築したりしてなんとか住み続ける努力をしてきた人々も、いつかあきらめて西側の高台に移ってきた。町の中央に市場や警察、病院、郵便局、ガレージいろいろな店が並び、旧市街と違って現代的な活気がある。

 新市街に入ってすぐ右手に大きな墓地がある。シンゲッティの町が始まった時から続いている墓で、何回も砂に覆われ、その上に墓ができ、また砂に覆われつつして、現在私達が目にする墓は7段目のものだという。

 その隣にあるのがキャラバン宿(Auberge  des  Caravannes)。 シンゲッティ振興青年団の会長であるモハメッド・ウェナンが経営するホテルで、ヨーロッパからの観光客が増え、年々増築されて2000年には乾河の向こう側、旧市街のはずれにアネックスも新築された。モハメッドは家をフランスのボランティア医師らに提供したり、ホテルで残った食べ物を町の貧しい人々に分けたりして地元ボランティアを行っている有名人。
空から見たシンゲッティの市街地。中央が涸川(ワジ:水が涸れ上がってしまった川)。 アブウェイのモスク。シンゲッティの旧市街から南15kmあまりのところで、11世紀以降繁栄したシンゲッティがあった場所で、2007年に町の有志によって、最初のモスクがあった場所にリメイクされた。
 シンゲッティの宿と食事

レデン・ド・シンゲッティ (L‘Eden de Chinguetti)п@540 0124 

 アタールに乗り入れているフランスの航空ル・ポワン・アフリック系列のホテルで、フランス人らしいおしゃれなオーベルジュ。シンゲッティ地方の薄い石を重ねた建物で、部屋はベッドタイプ、この国では珍しく庭の草木が多い。アタールからやってくると、シンゲッティ市内に入ってすぐのガソリンスタンドの隣にある。ツインベッドルームが7部屋。一人10,000ウギア〜、食事は1,500ウギア〜。

オーベルジュ・デ・キャラバン(Auberge des Caravannes)=キャラバン宿
п@540 0022、Fax 540 4272  

シンゲッティに入ってすぐ右手にある大きな平屋建ての宿。1989年から開業している老舗で、宿泊施設としてはシンゲッティで最大。 近隣で採れる粘土(バンコ)を使った建物が美しく、サハラの宿といった趣がうれしい。部屋は絨毯の上にマットレスを敷いたモーリタニアンスタイルで、一部屋4人〜6人用。敷地内のテントの中や、本館の屋根の上で星を眺めながら寝ることもできる。

敷地内には宿泊用、レストラン、シャワー・トイレの棟が数棟並び、車ごと敷地内に入れる。シーズンピーク(10月〜3月)には何十組もの団体客で混み合う事があり、静かな街のたたずまいを求めてきた個人客にとってはあまりありがたくない晩もあるかもしれない。

朝食、夕食込みで1泊一人4,800ウギア(4,5人部屋)。単独使用は10,000ウギア/一人、素泊まり4,000ウギア/1部屋。テント素泊まりは1,500ウギア〜 



オーベルジュ・デュ・モール・ブルー(Auberge du Maure Bleu)=蒼いモール人の宿
п@540-0154 / 743-5401    

 乾川をはさんで旧市街のある側の入り口にある、2007年にできたばかりの宿。アドラール地方で最も大きな宿泊施設。ベッド式、クーラー付き23部屋、スィート2部屋、テント泊も可。

シングル5,200ウギア〜、ツイン8,400ウギア〜。食事は1,500ウギア〜。


オーベルジュ・アブウェイール(Auberge Abweir)
п@540 0124 

新市街から乾川に入り、北に向かって右手に見えてくる小さなオーベルジュ。静かで温和な従業員らの心温まる歓迎は、静かな個人客にぴったり。一人2,500ウギア〜。

そのほか、2004年以降、市内、または、乾河沿いにいくつか小さなオーベルジュがオープンしているが、シーズンオフはほとんどクローズしている上、シーズンになってもオープンしないところがある。

シンゲッティへのアクセス
アタールから約100km。アタールを出発して10kmほどで、切り立ったグランドキャニオンのような山にさしかかり、峠登り。エブヌー峠を登り切ったところでポリス・チェックを行う。シンゲッティまで道路が改良されてかなり走り易くなっているが時々窪みがあるので要注意だ。

 アタールからのオフロード車タクシーは片道約US$50。
 ワダンまでのルートも道路がかなり整備されて、2〜3時間ほどで到着できるようになった。
 ここから −アタールまで約100km
         −ワダンまで約120km