Atar



 アドラール地方は、モーリタニアの中でも最も起伏に富んだ美しい地方だ。交通の便が良い上、オアシスや山、砂丘と最もサハラ砂漠のドラマチックな部分を見ることができ、また、文化の面でもモーリタニアの都会などで失われつつある古い慣習をかたくなに守り続け、良い意味での伝統が残っている地方である。
 この辺は数十年前まで豊かな緑におおわれ、林や谷、丘、草原、川、湖などがあったが、今では全域といってよいほど砂丘や無もうの岩地と化してしまった。地下水脈のあるところだけナツメヤシのとれるオアシスが残り、かつてのナツメヤシの収穫に比較にならないくらい減少したが、それでもアドラール地方では畜産に次ぐ大きな収入源となっている。アドラール地方のナツメヤシはこの国では品質の良いことで知られている。

 アタールはアドラール地方の州都、モーリタニア北部の商業の中心地である。このあたり一帯で生活している遊牧民が、羊・ヤギ・ラクダなどの食肉やナツメヤシを売りにやって来て、かわりに食糧や衣料などを買っていく。アタールの市場はヌアクショットと同じくらいさまざまな商品が売られ、品数が多い。また、ここは皮製品などの民芸品を作ったり彫金が昔から盛んで、ヤギの皮にサンダルや袋、クッション、タバコ入れ、パイプホルダーなど、独特のアシメトリックな模様を施した製品が創られている。また、キャラバン隊が持ってきた金、銅、真鍮からネックレスやブレスレットなどの装飾品、トレーやお茶セットなどレリーフや透かし彫りのオリジナル製品が有名。
 早くからこうした商習慣が栄えたため、アタールの人々は若いころから金銭感覚が発達し、いろいろなことを金銭価値で評価する傾向にあるといわれている。 

 
近年フランスやスペイン、イタリアでモーリタニアブームになり、フランスからの直行便がアタールにフライトしたことによって、急激に観光化が進んだ。ホテルが2003年頃から次々と建てられ、下記のホテルのほかにもたくさんのホテル、オーベルジュがある。  


















  
    アタールのパン売り


 アタールのみどころは、市内中心部にある市場。近辺のキャンプ(遊牧民のテント)やブルースとよばれる遊牧民の部落から集まったたくさんの人で賑わい活気に満ちている。アタールの炭焼きパンはおいしさで有名、バゲットしか入手できないヌアクショットと違ってブリオッシュや卵入りパンなどバラエティに富んでいる。市場の一角にある金属細工工芸も他にないこの町特有のオリジナルな製品で興味深い。
他に、クサール(ksar)と呼ばれる狭い路地の入り組んだ旧市街はモーリタニアの古い町並みを堪能できる。
クサール(旧市街地)を走り回る子供達 公衆電話の看板。アタールからは国際電話もかけられる。


 アタールからシンゲッティに向かう途中のアモグジャール峠(シンゲッティのページ参照)や、その近辺の壁画、フランスの映画撮影の為に造られたサガン砦なども興味深い。


(Photo by Tetsuro Chiharada)
市街地の向こうに見えるアモグジャーの山

 1998年以降、フランスから直行便がフライトするようになってヨーロッパからの観光客が急増した。シンゲッティやワダン、テルジットなどアドラール地方を中心に2週間〜1ヶ月のラクダツアーや砂漠を歩くツアーなどいろいろなツアーが企画されている。


アタールの宿と食事

ホテル・ル・メハリスト(Hotel Le Mehariste
2003年にできたばかりのアタールで歳高級の新しいホテル。エアコン付き、シャワー/バス付き、ベッドルーム。


ホテル・アル・ムーラビティン(Hotel  el  Mourabitines )
はかつてのフランス軍の駐在事務所だったもので、民営化され外国人向けのホテルとして使用されてきた古いホテル。近年までこの町で唯一の高級ホテルで、パリ〜ダカールラリーの際には篠塚選手や今は主催者となった2輪ライダーのオリオールなどが泊まった。14部屋、全室クーラー、シャワー付き、ベッドルーム。

Hotel du  Nordなど安いホテルが町はずれにある。

オーベルジュ・キャラバン・デ・デゼール(Auberge Caravane du Desert)
アドラール地方最大の旅行エージェント、キャラバン・デ・デゼールが経営するホテル。シンゲッティやテルジットの同名のホテルとオーナーが同じ。14部屋、全室クーラー、シャワー付き、モーリタニアスタイル室内。キャラバン・デ・デゼールグループが経営するホテルは料理がおいしい。
 
 近年、ヨーロッパからの客が激増し、それに併せてアタールではホテルが急ピッチで建築中。Hotel du  Nordなど安いホテルなどたくさんある。ただし、フランスへの直行便が急にフライト中止になったりすると、街中のホテルが満員になることもある。
 一方、レストランはヨーロピアン料理は大きなホテルの中にあるのみ。肉のグリルやピラフ、クスクスなどの地元料理を出すレストランが数軒ある。食べる前に料金の交渉をするのを忘れないこと。
 

アタールへのアクセス


 9月末〜4月末の間、フランスのパリやマルセイユからも直行便が週2便フライトしている。
ヌアクショットからアタールまでは1999年、中国が請け負った道路工事により完全舗装されかつて1日がかりだったルートが5時間あまりで往復できるようになった。
シュ―ムまで車で行けば、ヌアディブやズエラットに行く列車を利用することができる。

ここから −シンゲッティまで約100km、
       −シュームまで約100km
       −ヌアディブまで約600km 
       −ヌアクショットまで約500km